2020.01.20

小さな拠点作り『拠り所ふじもと』お披露目会

謹賀新年。本年もよろしくお願いします。(←遅い)

 

どうも。みなさまこんにちは。

2020年は夏までにバキバキBODYを目指している三代目です。

 

さて、薩摩川内市樋脇町の藤本という集落がありまして、そこに【藤本ふれあい店】という日用品や地域の畑で取れた野菜などを販売する小さな商店があるんです。

 

 

 

 

 

藤本地区というのは薩摩川内市の東南に位置し、郡山との境目の集落です。

 

藤本滝というきれいな滝が流れているのどかな山間の集落で、農業や畜産をされる方々の多い地域です。

【藤本滝公園】藤の花が満開です!

 

車で10分ちょっと走れば市比野の道の駅やコンビニなどもあるんですが、少子高齢化のこの時代。この地域の方々も高齢化が進み、交通手段も限られているわけで、地域の方々にとってはかけがえのない大切なお店です。

 

そんな【藤本ふれあい店】をこの集落の『小さな拠点』にしていろんな賑わい創生をしたいので、地域住民がDIYで内部改修できるようにワークショップ運営を手伝ってもらえないか?

 

というのが今回私へ舞い込んだ依頼。

 

地域会議にも参加し、藤本の方々が今までどのような暮らしをしてきて、これからどのような暮らしをしていきたいか。

 

そしてこの【藤本ふれあい店】をどのように利用していきたいのか?

 

一つ一つ紐解いていきました。

 

最初参加したときに聞いた話では、

 

『某道の駅のようにきれいに清潔にして、店頭の品数を増やせば地域外の人たちがきてくれるんじゃないか?』

 

『トイレが汲み取り式では若い方々は寄ってくれないからトイレをきれいにしたい』

 

『飲食許可をとって、食堂兼お惣菜屋にしてはどうか?』

 

などなど、いろんな意見が出ました。

 

そこで私からのアドバイスは

 

『他所の方々に利用してもらうのが目的ですか?自分たちが利用するのが目的ですか?もし自分たちが利用するのが本来の目的であるとするならば、今この地域で暮らしていて不便な部分、こうだったらいいなという希望などをまとめて、ここをそういう場にしませんか?』

 

とお話しさせていただきました。

 

『見えない誰かのために』は結局誰のためにもならない。自分たちが欲しい暮らしを自分たちで作りましょう!

 

という気持ちの一本化をする準備をしました。

 

そこからあーでもない、こーでもないを繰り返し、

 

『地域のお茶の間をつくる』

 

という結論に至りました。

 

地域のお茶の間、つまりみんなの共有のセカンドリビング。

 

人と人が互いに干渉しない都会ではなく、田舎のまちではもともと近所同士手を取り合い、お互い助け合いながら生活していくことが当たり前でした。

 

ただ、田舎の場合は土地も広いので近所といってもまあまあ距離があったりします。

 

若い頃や車やバイクに乗れる頃はちょっとピューっといくことが可能でしたが、移動手段を失った単身高齢者は近所まで歩くのが億劫になり、つい自宅に閉じこもってしまいがちです。まして、自炊するにも一人分の料理もなかなか難しい。また自炊のための食材も一人分では売られてないのでどうしても余ったりしてしまう。

じゃあ、ここで売られてる野菜なども、大根半分とか、キャベツ半分とか誰かに分けといてっていう買い方ができればそれをもらった人はお礼に別の野菜をその人にあげるとか、なんならこの店でおかず作ってそれをみんなで分けられるようにしたらいろんなメニューが選べて楽しいんじゃないか?とか、いっそのことここでみんなで料理してみんなで食べて家に帰れば、一人暮らしの高齢者も楽しく食事ができるんじゃないだろうか?とか。

 

当たり前の日常のワンシーンをほんの少し編集するだけでこの地域の暮らし方は豊かになると思います。

 

絆の深い、みんなが積極的に行動するそんな藤本地区の偉大なる日常を演出する場がここ『藤本ふれあい店』です。

 

じゃあ具体的にこの店をどう改修すれば「地域のお茶の間」が実現できるのか?

 

この辺が地域再生コンサルタントではなく私の出番です。

 

建物の状態をみて、『藤本らしい藤本でしかできないものを作らないと意味ないですよ!』という方針のもと、道の駅やコンビニのような清潔感あふれる空間ではなく、

 

『この地域の方々が昔暮らしていた家はこんな雰囲気だったよね?』

 

と思えるような少し懐かしい雰囲気を出しましょう。そして子供達や若い世代に、

 

『田舎っぽいのが逆にかっこいい』

 

と思ってもらえるような空間づくりをしましょう。

 

という提案をさせていただきました。

 

イメージしたのは【峠の茶屋】

 

画像

店内の様子

清潔ではあるけどピカピカじゃない。どことなく懐かしさを感じる雰囲気です。

 

当初は壁も白に塗ってちゃんと天井も貼って、LED照明で明るくしたい!という要望もありましたが、藤本という土地柄を活かし、違和感のない雰囲気を提案させていただきました。

 

そして今回、一番大事なポイントだったのが、『地域の人が自分たちの手で自分たちの拠点をつくる』ということ。

 

私は常々

【DIY=お金がないからやる】

ではなく、

【DIY=自分で作る唯一無二の価値の創造】

と皆さんに伝えています。

 

そしてワークショップは強制労働ではなく、学びの場。

【基礎を学び実践する場である】とお伝えさせていただいておりますので、今回のDIYワークショップも

 

【私たちプロが使う道具を正しく安全に使用する方法を学び、自分たちの手で自分たちの暮らしの拠点を作る】

 

という目的を持って挑みました。

 

するとどうでしょう。

 

地域の方々の情熱の凄さときたら、こちらが圧倒されるほど。

 

皆さん積極的に参加され、解体の際は残暑厳しく、全身汗びっしょりになりながら、長年積もり積もった天井裏の埃を被って全身真っ黒になりながらも笑顔で作業に挑んでくださいました。

 

 

 

そんな現場で働く男たちを支えてくれるのは藤本のパワフルなお母さんたち。

藤本コミュニティセンターの厨房でお手製のカレーを仕込み

 

 

みんなで集まってみんなで食べる。

 

 

さらにはそれぞれが持ち寄りで柿やお菓子まで。

畑仕事や地域の行事のときにもみんなで集まってこうやって普段からみんなが助け合ってるんだなぁと改めて実感。

そんなこんなで解体も無事終わり、いよいよ内装へ。

手伝ってくれたのはしっかりとした技術を持ちながら、オモシロイ仕事に目が無いおなじみミソップこと37デザインの味園将矢くん。

 

安全のため、木材カットはプロ仕様の電動スライドのこぎりを使用しました。

使い方を説明し

 

実際に切ってもらいます。

このとき、ただ切るのではなく、万が一に備えた体の向きや注意事項を交えてしっかり指導。

そうやって切り出された板材はフィニッシュと呼ばれる仕上げ釘打ち機を使用して止めていきます。

エアコンプレッサーを使用した「パシュン パシュン」と音のするアレです。

こちらもプロ工具ですが、正しい使い方をしっかり覚えてもらえれば安全で早く作業ができます。

 

だんだん作業に慣れてくると、こちらは黙っていても自分たちで寸法をとって自分たちで切って、自分たちで貼っていくという流れに。

 

こうなってくると楽しくてしょうがなくなってくるんですね。

地域の方々に混じって、薩摩川内市の地域製作室の職員も毎回参加してくださり、積極的に壁貼りしていただきました。

慣れてくるとどんどん他の作業もやりたくなるもので、窓枠の組み立てから嵌め込みまで自分たちで。

終始和気藹々と楽しくできたこのワークショップ。

そうやって自分たちの手で作り上げた空間が、内装工事一区切りとして令和2年1月19日にいよいよお披露目の日を迎えました。

 

DIYワークショップに参加した方々だけではなく、地域に住む人たちの多くが参加してくださり、みんなで考えた新たな名前をお披露目。

約80名ほどの人が詰め掛け、振る舞いの餅や豚汁を食べながら大いに賑わいました。

ここでも大活躍の藤本のお母さんたち。美味しい豚汁の振る舞いです。

いろんなところでいろんな話が盛り上がり、終始賑やかな雰囲気に。

MBCや南日本新聞の取材も入って、インタビューに照れながら答えてました(^^)

外では餅つきも行われ、子供たちも嬉しそう

少子高齢化

人口減少

地方衰退

コミュニティ不足

 

など、日本全国にあるこれらの問題は個人の力で簡単に解決することは不可能ですが、自分たちの暮らしを豊かにすることはできる。

 

自分たちの暮らしを豊かにすることの積み重ねが結果的にその地域を盛り上げ、魅力が出てきて少しでも課題解決の一助になるのでは?と私は考えます。

 

今回のこの小さなプロジェクトが薩摩川内市にとって、藤本地区にとって少しでもお役に立てたなら幸いです。

 

【藤本ふれあい店】改め、【拠り所ふじもと】はどなた様でもご利用いただけます。

このお店を維持するために施設利用料として100円いただければコーヒーやお茶はご自由に飲んでいただけます。もちろんお買い物だけでもOK。

 

普段なかなか通ることのない山道ですが、通りかかった際はフラッとお立ち寄りください。

 

普段は餅や豚汁の振る舞いはないですが、新鮮なお野菜と元気な笑顔が待ってますよ!

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